●カッポレ
この魚に憧れて、小笠原にまでやってきた船長。まさにこれこそ海の猛禽類だと言い張り、世間ではシマアジがオオカミと呼ばれているのに対して、「カッポレの方がオオカミに似てるわー、オンドリャーッ」と日々、うなっています。初めて釣ったのは、聟島(むこじま)列島・媒島(なこうどじま、父島より北へ60km)にあるマグロ穴という磯釣り屈指のポイントで、表層が真っ黒になるぐらいたくさんのイスズミ(外道)が泳ぐ中、その下にいるカッポレを釣りたくてある術を使ってみたところ、これが大当たりの入れ喰い。ただでさえ好きだったカッポレが輪をかけて好きになり、すでにその時から「かっぽれ丸構想」が頭に浮かんでいたそうな…。
すいません。船長の勢いに負け、のっけから話が脱線してしまいました。まず、この魚はギンガメアジ属に属し、アジ科の中でも平べったくて体高が高く、いわゆる鯛のような形が特徴。世間ではロウニンアジも含めてヒラアジと呼ばれ、さらに地元ではこちらを「黒カッポレ」、ロウニンアジの小型のもの(あまり船釣りではお目にかかれませんが)を「白カッポレ」と呼んでいます。
あまりくわしい習性はわかりませんが、地元ダイバーの報告では、潮流の早い沖磯の周りやいわゆるドロップオフと呼ばれる海底の断崖絶壁の場所で、数匹から数十匹の群れで泳いでいるのがよく見られるそう。体型からも潮の早いところを好むと思われますが、たまに、静かな入江などで釣れることもあります。通常釣れてくるのは、2〜4kg。まれに5kg以上の良型もいますが、やはり磯ぎわの魚なのでしょうか、磯では10kgを超えるものも釣れることがあるようです。いったん釣り針にかかると、モーレツなおかつ縦横無人に暴れまわり、それこそ釣人が「かっぽれ踊り」を踊るようなので「カッポレ」と名付けられたという説と、そのあまりの美味さゆえ、食した人が思わず「かっぽれ踊り」を踊り出してしまったというふたつの説があるよう。いずれにせよ、釣ってよし、食してよし、姿よしの、船長いわく「超カッコイイ〜」魚です。
ただ、この魚はバカなのか、ハリスが太かろうと、エサが大きかろうと小さかろうと、とにかく何でも喰ってきて、口が堅いのでバレにくく、釣り上げられてもなお大暴れ。しっぽの付け根にあるゼイゴが鎧のようにゴツく、手に触れると痛いので気をつけましょう。父島周りでは釣れる場所がおおよそ決まっていて、良い潮に当たれば狙って出船することも可能。ですが、全体的に数自体は少ない魚です。水深帯は30〜70mぐらいで、しかも沖磯のきわぎりぎりに船をつけ、汗をしたたらせての打ち返し。潮の早い場所での釣りになるので、本来は初心者向けではないのですが、うちの船長は誰にでも、無理矢理ねらわせています。ただし、カッポレは希少種。小型のものはリリースしましょう。
<食味>
刺身、寿司ネタは言うに及ばず、かぶと煮、かぶと焼きがめちゃくちゃ美味。特におでこは絶品です。また、てんぷらやフライなどの揚げ物もオススメ。特にフライは、こんなにうまいものがあったのかい?という勢い。どうやって食べてもあんまり美味しいので、「やっぱり、釣らせるのやめよっかな」と船長。
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